背臥位で上肢を緩めたのに起き上がると、
元に戻ってしまったという経験をしたことがありませんか。
私は、経験したこともあります。
そして、その光景をよく見かけることがあります。
なぜ上肢を固めてしまうのでしょうか。
私は以前、体幹が不安定だからではないかと考えていました。
そのため、体幹の安定性を出すための
筋力トレーニングを実施していました。
しかし、ちょっとまってください!
本当に体幹の不安定性だけが、原因なのでしょうか。
確かに、体幹の問題はあるもしれませんが、
他にも原因がある可能性があります。
私が調べた文献によると、次のようなことがあるようです、
上肢がハイトーンになる原因として、
体幹のハイトーンとロートーンによる姿勢運動パターンの異常、
歩行時の体幹と下肢の協調性、
端座位での上肢と体幹の協調性
などがあげられます。
上肢がハイトーンになる原因の1つだけにとらわれず、
他の原因にも目を向けることが大切です。
では、これらの上肢がハイトーンになる原因に
どうアプローチすべきなのか。
文献では、2つのポイントがありました。
1つ目は、体幹と骨盤・下肢の協調的なパターンに着目する。
2つ目は、運動発達過程に着目することです。
■体幹と骨盤・下肢の協調性について
目の前の物を取ろうとするとき、関節の動きとして必要なのは、
肩関節の屈曲、
肘関節の伸展、
前腕の回内、
手関節の背屈、
手指の伸展
です。
これらの動きの協調性が必要です。
これらをなめらかに行うには、
動作に先行して体幹の抗重力伸展反応(姿勢制御)が働きます。
体幹が、安定している必要があります。
上肢の動きの協調性、姿勢制御、この2つの要素が、
協調的に働かないと物をスムーズにとることができません。
また、片麻痺患者の立脚期や遊脚期での不安定性から、
連合反応による
上肢の異常屈曲パターンが出現してしまうことがあります。
このことから、上肢機能の回復には、
体幹と骨盤・下肢の協調性にも目を向ける必要があります。
■運動発達過程について
片麻痺患者の上肢機能を回復させるには、
運動発達を念頭に置く必要があると言われています。
上肢の運動発達は、上肢で不安定な体幹を支えることから始まります。
次に、安定した座位がとれて初めて上肢が機能します。
不安定な立位に移行すると、上肢はバランスをとる要素になります。
そして、安定した立位で、巧緻性に富んだ動きが可能になります。
文献では、片麻痺患者に当てはめた考えが記されていました。
上肢の支持機能を回復させることにより、
屈曲パターンが軽減し、
肩甲骨周囲に協調的な筋収縮の刺激を入れることができます。
また、体幹が安定してくれば、
上肢の遠心的な活動に繋げていける可能性が出てくるとされています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
CCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】
認定インストラクター
八剱 誘起