抗重力伸展反応が歩行に与える影響

2019年12月23日 yoshihiro

皆さん、こんにちは。

 

CCRA認定インストラクターの八剱です。

 

 

皆さんは、リハビリ室でこんな掛け声を聞いたことはありませんか?

 

 

「もっと姿勢を伸ばせますか!!伸び上がってください。」

 

 

「もっと膝伸ばせますか!!」

 

 

私は、よく聞きます。

 

 

私も口癖のように、利用者さんに言っていました。

 

 

これらの掛け声は、

患者さんに姿勢を保つために頑張らせているもしくは、

意識させていますね。

 

 

姿勢を保つために必要な機能を、皆さんはご存じでしょうか?

 

 

代表的なものが、抗重力伸展反応です。

 

 

さて、皆さんは抗重力伸展反応とは、

どんなイメージをもっていますか?

 

 

 

 

私が新人のころは、

重力に負けないように力一杯頑張るイメージ。

 

そして、姿勢を保つには意識的に保持する

必要があると思っていました。

 

 

しかし、

 

 

私の理解は、間違っていました。

 

 

 

まずは、抗重力伸展反応とはどういうものか、

理解する必要があります。

 

 

今回は、抗重力伸展反応が低下している歩行について、

特に下肢に着目して紹介したいと思います。

 

 

・抗重力伸展反応とは

随意運動が実行される前に姿勢を保持するために、

必ず抗重力伸展反応(姿勢制御)が働きます。

 

 

抗重力伸展反応(姿勢制御)が働くことによって、

歩行などの動作時に姿勢を無意識に保つ役割です。

 

 

姿勢制御は、

網様体脊髄路前庭脊髄路の二つで構成されています。

 

 

つまり、

 

抗重力伸展反応を高めるには、

網様体脊髄路と前庭脊髄路の二つを興奮させることが重要です。

 

 

 

・アプローチの一例

皆さん、イメージしてみてください。

 

 

歩行中に股関節・膝関節を伸ばすことが出来ず、

屈曲位のままでミッドスタンスが不安定で、

膝が折れそうで怖いと訴えている患者さんがいたとします。

 

 

 

私の評価から、アプローチまでの一例です。

 

 

1.立位にて、下肢のつながりと抗重力伸展反応の確認。下肢のアライメントの確認。

 

2.立位にて非麻痺側上肢はベッド支持で、麻痺側ステップ位で静止できるか。

・大殿筋と大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋を触診する。

・触診したまま、前方へ重心を移動していく。

・重心移動とともに、大殿筋と大腿四頭筋、ハムストリングス、

下腿三頭筋の収縮を感じる。

 

3.大殿筋の収縮は微弱で、ハムストリングスの収縮が感じられず、

膝関節が屈曲位の状態でした。

大腿四頭筋・下腿三頭筋は、過剰な収縮がみられていました。

 

4.仮説検証のために、アプローチ

 

5.再評価

 

 

例に挙げた症例を評価した結果、

大殿筋とハムストの反応が低下していることによる、

抗重力伸展反応が低下していることが分かりました。

 

 

私の仮説としては、

 

 

ミッドスタンスで大殿筋とハムストの遠心的な活動が低下しているため、

股関節を伸展させることが出来ず、結果的に膝関節が屈曲していたと考えています。

 

 

また、膝折れを止めるために、

大腿四頭筋と下腿三頭筋を過剰収縮させているのではないかと予測しました。

 

 

私が行ったアプローチは、

 

 

 

立位にて、麻痺側への重心移動で大殿筋とハムストの促通を入れながら重心移動。

 

次に、CCRA歩行編の大殿筋の促通とハムストの促通を実施しました。

 

再評価を行うとアプローチ実施後は、

ステップ位で、大殿筋とハムストの収縮がみられるように。

 

膝関節の伸展がみられるようになり、

大腿四頭筋と下腿三頭筋の過剰収縮がみられなくなったのです。

 

 

・まとめ

つまり、

 

 

ミッドスタンスでの膝伸展に、大腿四頭筋は過剰に使わないということです。

 

 

足部を下腿三頭筋の遠心性収縮で安定させ、

股関節を大殿筋とハムストの働きで股関節を伸展させる。

 

 

 

結果的に、抗重力伸展反応が高まり膝関節を伸展させるのです。

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

CCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】

認定インストラクター

八剱 誘起