From.CCRA 福留良尚
以前、骨盤前傾のハンドリングについて記事を書きました。
要約すると以下の2点。
全文を読まれたい方はコチラ>>>「骨盤前傾の間違ったハンドリング」
本日は反対です。
普段「後傾へのハンドリングなんてしない」という方も、以下のような患者さんは見たことあるのではないでしょうか?
こんな患者さんは、後傾へのハンドリングが必要です。
何故なら、どのような姿勢や動作においても、固定している状態でのメリットはありません。
静的な座位や立位においても、必ず微細な重心移動や、次の動作への準備が行われているからです。
人は常に同じ状態を保ちながらも動き続けています。
この話、詳しくすると時間が足りませんので、興味のある方は以下をご参照ください。
良書です!>>>「動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」福岡 伸一
固定ではいけないというのはお分かりになるかもしれませんが、CVAのハンドリングは前傾を促すことが優先されている印象です。
後傾に促すことの必要性を考えたときに、重要なのは「重力」です。
先ず、内臓には重力を感じる受容器が存在するといわれています。
腰部を過剰な伸展で固定している患者さんは、重力による上からの圧を感じにくくなっています。
これは大切なのでもう一度。
内臓受容器について(コトバンク 世界大百科事典内の内臓受容器の言及【感覚】より)
シェリントンCharles Scott Sherrington(1857‐1952)は,受容器と刺激の関係から受容器を外部受容器exteroceptor(体外からの刺激に反応する受容器)と内部受容器interoceptor(身体内部からの刺激に反応する)とに分けた(1926)。中略
後者は固有受容器proprioceptor(筋肉,腱関節,迷路などの身体の位置や,四肢の運動の受容器)と内臓受容器visceroceptor(内臓にある受容器)に分けた。
骨盤内にある臓器、正確には腹腔内にある臓器は、重力による上からの圧を感じる機能を有しています。
もし人が上から押さえられたらどうなるでしょう?
一度沈みますよね?沈みつつ姿勢を保とうとする。
この過程において「後傾」が重要になってきます。
その結果として、動きとしては見えない程度の骨盤後傾が出現するわけです。
座位や立位で骨盤を後傾させるハンドリングは、かなりのスキルが必要になります。
これらのテクニックは実際の研修会場でお伝えしています。
今回は簡単に促す方法をお伝えします。
患者の肢位は両膝立てての背臥位で、殿部を離床させる、いわゆるブリッジ動作にてこの動きを促すことが出来ます。
殿部を離床させつつ、ハムストリングスや大殿筋といった股関節伸展筋を刺激し、同時に足底にも圧を加えながら骨盤の後傾を誘導していきます。
この時注意しないといけないのは、背筋群の活動で腰椎が過伸展し、骨盤が前傾してしまわないようにしなければなりません。
頭部を床に押し付けるような動きも間違いです。
麻痺側の下肢を膝で挟むようにして、骨盤の傾斜や膝が動揺するのをサポートしながら徐々に離床させていくように誘導しましょう。
この動きが可能になると、立ち上がりや座り込む際の骨盤の動きがスムーズになります。
骨盤の前傾のハンドリングでもお伝えしましたが、操作や強制では患者さんの動きは引き出せません。
無理矢理良い姿勢を取らせたり、無理矢理動かしては意味がないということです。
「まだまだ経験も浅くて難しい」という方は、コチラを参考にしてみてください。
それでは最後まで読んでいただけて感謝です。
脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ
九州地区責任者 理学療法士 福留良尚