ボディスキーマの過去と現在

2019年12月01日 福田俊樹

中枢神経疾患に関わっていると、一度は耳にした言葉かと思います。

 

自分自身の身体についてのイメージであることは何となく分かりますが、

具体的にはどんなイメージを指していて、

それがリハビリにどう活用できるのかは今ひとつイメージが沸かないかもしれません。

 

今回はこのボディスキーマについて掘り下げて行きたいと思います。

 

ボディスキーマとボディイメージ

似た様な2つの言葉ですが、意味が異なっています。

 

ボディスキーマとは無意識的な身体の認識、内部表現と言われており、

例えば目の前の物に手がとどく範囲かどうかを知ることができることなどが挙げられます。

 
 
ボディイメージとは自分は太っている、痩せている、背が高いなど

意識的な自身の身体のイメージです。 

 

ボディスキーマは身体を動かすことにおいて重要な要素を担っていることは誰もが思いますが、

実際どの様な仕組みで形成されるのか、

どんな構成をしているのかはまだまだ不明瞭な部分があります。

 

そこで現時点での整理として

古典的な概念から最近の動向、及びリハビリテーションの展開について紹介します

 

古典的なボディスキーマの構成

様々な感覚情報が統合され、ボディスキーマが構成されます。

古くからは関節の角度に対する固有受容および運動感覚の情報が

動作のパフォーマンスを上げる重要な役割を果たすことが言われてきました。

 

よってリハビリでは固有受容器に対しての感覚入力を行うことで、

ボディスキーマが洗練され、動作の改善につながるという認識でアプローチが展開されます。

 

固有受容器感覚とは

そもそも固有受容器についても整理しておきましょう。

固有受光器とは筋、腱、関節、靭帯などに対しての刺激や運動に対して反応する受容器です。

 

感覚としては深部感覚として有名な位置覚、運動覚に加え、

関節の維持や運動に必要な力を伝える力の感覚の3つに分類され、

筋紡錘や腱器官、ルフィニ、パチニなどが実際の受容器として活動しています。

 

固有受容器に対して刺激を入れる(感覚入力する)際には圧迫や伸張などを行います。

 

多重感覚統合での形成

従来は特定の感覚と運動との結びつきについての研究が主でしたが、

近年では様々な感覚間の相互作用についての研究が盛んになっている様です。

 

つまり固有受容器感覚単独ではなく、

視覚や触覚などその他の感覚情報が統合されることによって、

ボディスキーマの更新がなされていくということが分かってきました。

 

リハビリでの展開として

うまく直立位が取れない方がいらっしゃったとしましょう。

 

固有感覚受容器メインでの考え方はとして、

例えば股関節の固有感覚受容器からの入力が乏しいため、

ボディスキーマが歪んでうまく直立位が取れない状態であった場合を考えます。

 

荷重時に圧迫が起こりやすい様にアライメントを修正し、

感覚入力量を増大させボディスキーマが更新され姿勢が改善することを狙います。

 

多重感覚統合の要素を考えてみると、通常では立っている際、

足関節が背屈すると前足部へ荷重し、

底屈すると後足部へ荷重がかかります(足関節のみの動きの場合)、

 

これらの相互作用の関係性が乱れていると

直立位でのボディスキーマが歪みうまく直立位を取れない状態となります。

 

そこで視覚情報やその他の感覚情報を用いながら

足底荷重の位置と足関節の関節角度を関連づける練習を行い

相互作用を形成しボディスキーマが更新され姿勢が改善することを狙います。

 

まとめ

ボディスキーマをリハビリに生かすために、

定義や現在述べられている仕組みについて紹介しました。

 

原理や仕組みがわかるとよりアプローチの幅が広がり、効果的な介入が可能になると思います、

普段何気なく使っている用語なども改めて仕組みや原理を調べてみると

新しい発見があるかもしれません。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

CCRA代表 福田俊樹