CVAの動作能力を変化させる要因

2020年02月27日 yoshihiro

CVAへの日常生活動作練習(以下ADL練習)を行う中で、

「動作能力が大きく変わる場面」が見られます。

 

 

あなたの担当した症例にも、

次のようなことを経験したことがあるのではないでしょうか?

 

 

リハビリ室で行うADL練習では難なく行える動作が、

いざ病棟スタッフに囲まれて行うとなると、

患者さんが緊張してうまく行えない。

 

 

初めて行う動作練習となると、

ちょっと難易度が変わっただけで、

筋緊張亢進が強く現れ、努力性が強い動作となってしまう。

 

 

 

このようなことはどうして起こるのでしょうか?

またその対処法はどうすればいいのでしょうか?

 

 

CVA患者さんの1日の生活の中での活動量を向上させるためには、

知っておくべきことでしょう。

 

 

 

 

■動作の実用性を構成する4つの要素

 

CVAに限らず、動作の実用性として4つの要素が挙げられます。

 

4つとは、円滑性、適応性、安全性、耐久性です。

 

 

動作練習という一面でこの4つを考えると、

個人的にはCVAのADL練習には、

適応性と耐久性のふたつが重要ではないかと考えます。

 

 

適応性とはどんな場面でも動作を遂行できる能力を指します。

耐久性とは適当な努力で動作を遂行できる能力を指します。

 

 

 

CVAという疾患の特徴として、

「場面が変わると動作能力が大きく変わる」

「努力性の動作になりがち」

というものが挙げられます。

 

 

■動作能力を共有する相手と目的

 

病棟ADLを設定する上で、

カンファレンス等で病棟スタッフへ状態を共有することは非常に大切です。

 

また在宅で家族さんを前に状態を説明することもまた大切なことです。

 

 

どちらも、患者さんのADLの決定権を持つ人(病棟スタッフ、家族)に対するプレゼンテーションだからです。

 

 

決定権を持つ人に「こんな状態じゃ危ないな」と思われたら、

ADLの変更は難しいでしょう。

 

 

プレゼンテーションを行う目的は

「これくらい動けるなら、普段からやってもらっても大丈夫かな」

と相手に感じていただくことです。

 

 

 

環境が変わることで動作能力が変化するということは、

単純に毎回のリハビリ時に効率的なADL練習を行うために把握しておく必要があるというだけにとどまりません。

 

患者さんのADLレベルを向上させる過程では、

プレゼンテーションのために絶対に押さえておくべきことです。

 

 

 

把握した上で対処する必要があります。

 

 

■CVAの特徴を紐解く

 

対処するために、まずは情報を整理しましょう。

CVAという疾患の基本からのおさらいです。

 

 

 

CVAの筋緊張は環境によって変化します。

 

 

具体例としては、

リハビリ職が介助した状況ではさほど筋緊張亢進が見られないとしても、

一人で動作を行うと筋緊張亢進が著名となる。

という例がイメージしやすいと思います。

 

 

 

努力性の動作が見られやすいのもCVAの特徴です。

 

 

運動麻痺、高次脳機能障害、残存能力の非効率的な発揮など、

動作を遂行する能力に支障をきたしています。

そのため過度な努力で動作を行おうとする傾向が見られます。

 

 

「環境の違いによる動作能力の違い」、「努力性の動作を行う傾向がある」

という2点から、

CVAのADL練習を行う上で、

特に留意すべきは「適応性」「耐久性」であるといえます。

 

 

 

ちなみに、運動スキルの記憶を担当するのは、線条体、運動領野、小脳です。

 

 

ADL練習とは単純に反復練習で運動刺激を入れるというのではなく、

これらに感覚入力することでより効率的な動き方を学習するために行うことという見方もできます。

 

 

 

またADL練習にあたり知っておくべきもうひとつのこととして、

「学習の段階が低いほど注意を要する」(Fitts,Posner 1976)

があります。

 

 

スキルが高いとは注意をさほど要さずとも、

効率的な運動が行えるとも表現できるでしょう。

 

 

CVAに特化していうと、

スキルが高いとは筋緊張がさほど亢進せずとも動作が遂行できると言えるでしょう。

 

 

 

 

CVAの環境によって異なる動作能力の背景にはこれらの情報が示すことが考えられます。

 

 

 

■ADL練習のポイント

 

整理すると、

筋緊張亢進が動作の阻害因子となりやすい。

動作能力の中でも「適応性」「実用性」を意識したスキルを向上させる必要がある。

注意を要さずとも動作が遂行できる状態を目指すことがスキルの向上と言える。

 

 

 

これらを意識したADL練習とはどのように行えばいいのでしょうか?

 

 

 

環境による動作能力の差は、心理面の影響が伺えます。

 

このことから様々な環境を経験することがその対策となります。

 

 

ただ経験させれば良いのではなく、

患者さんの能力を把握した上で、適切な難易度の設定が必要でしょう。

努力性をどう解釈するかがポイントです。

 

 

 

さらに求めたいのは、

動作能力をより発揮させるためには、

どのような身体になればいいかということまで意識できると良いでしょう。

 

 

「これくらいの動作ならどんな環境でも大体安心して行える」。

 

 

そこまで患者さんに感じていただけるリハビリを提供できれば、

病棟スタッフや家族さんに見守られながらでも、

動作能力を発揮することができるでしょう。

 

 

 

最後にもうひとつだけ。

 

身体機能を発揮するためのキーワードのひとつが「姿勢制御・運動制御」です。

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

CCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】

認定講師

岡澤 頼宏