円滑な動作獲得のために知っておくべき「つりあい」とは?

2019年09月10日 yoshihiro

こんにちは。CCRA関西地域担当講師の岡澤です。

 

 

あなたはCVAの動作に介入する上で重要な「つりあい」についてご存知ですか?

 

 

僕は理学療法士になって18年目になりますが、

恥ずかしながらこのことを知ったのはここ数年のことです。

 

 

動作が円滑に行われている背景には、様々な要素が挙げられます。

筋力、可動域、バランスなどなど。

 

 

これらを姿勢制御システムが情報を統合し、

円滑に動作が遂行されるよう調整しています。

 

 

 

ここまではこれまでの

CCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】のメールマガジンを

お読みくださっているあなたであれば、ご存知のことと思います。

 

コラムはCCRAホームページの「スタッフコラム」からご覧いただけます。

>>>https://ccrajapan.jp

 

 

今回僕が伝えたい内容はさらにその手前、もっと基礎的な部分の話です。

 

 

 

何かしらの活動を行う際、手や足を動かすことは必ず伴うことです。

 

 

例えば何か物を取るために腕を伸ばすという動作を行うとしましょう。

 

 

この腕を伸ばす動作を行う時に、重要なつりあいとは何と何のつりあいでしょうか?

またそのつりあいはどんな目的のために必要なのでしょうか?

 

 

 

 

3択を用意しました。

 

 

A:上肢と体幹のつりあい

B:屈筋と伸筋のつりあい

C:求心性収縮と遠心性収縮のつりあい

 

 

 

正解は、、、いずれも正しいです。

 

 

その中でも、今回は特にCについてお伝えします。

 

 

 

腕を伸ばす際は主に伸筋を使います。

 

 

伸ばすスピード、距離、方向について調整がなされます。

 

 

どのように調整されているのでしょうか?

 

 

 

 

それは伸ばす動作を行う求心性収縮に対し、

伸ばす動作のブレーキ役である遠心性収縮の調整で制御されます。

 

 

 

もし、腕を伸ばす際、

求心性収縮だけで動作が行われると、

バネのように弾けるように動作が行われてしまいます。

 

 

場合によっては肘が過伸展してねじ切れてしまうかもしれません。

想像すると、非常に恐ろしい光景です。

 

 

 

そうならないようにするのが遠心性収縮の役割です。

動作のスピード調整を求心性、遠心性の調整で行なっているのです。

 

 

 

違う例えをしましょう。

 

 

歩行ではどのようにこの調整がされているでしょうか。

 

 

 

歩行は人間の身体が、

構造上もシステム上も非常にうまくできていることを実感する動作のひとつです。

 

 

 

歩行は足の接地時に地面からの衝撃を柔らげるよう、

保護的な膝屈曲が起こるようになっています。

 

 

 

その膝屈曲を作るのも、この求心性遠心性のつりあいです。

 

 

 

接地時膝折れがしないように、しっかり膝伸展を担うのが大腿四頭筋。

 

そこから衝撃吸収のための膝屈曲を担うのがハムストリングス。

 

 

 

そうなんです。

求められる状況に応じてうまく求心性遠心性を切り替えられるように、

システム上できているのです。

 

 

人間って本当にすごいですよね。

 

 

 

すなわち求心性収縮は運動の発生という役割を担い、

遠心性収縮は運動の制御という役割を担っています。

この二つのつりあいで運動の円滑性が構成されているのです。

 

 

 

CVAは痙性や筋力発揮能低下のために、

このつりあいが阻害されている状態が臨床で見受けられます。

 

 

 

単純に錐体路の障害のために、

求心性・遠心性のつりあいが協調の取れない状態になる場合もありますが、

介入できる余地が全くないとは言い切れません。

 

 

 

ベースとなる抗重力伸展反応を賦活させることや、

筋力発揮能を向上させるためのアライメントの調整など、

介入できることもあるのです。

 

 

 

「動かない=錐体路が原因」と

安易に決め付けてはいけないという視点が、

CVAに関わるセラピストには必要です。

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

 

CCRA【脳卒中包括的アプローチ】関西地域担当講師

岡澤 頼宏