歩行時の介入と腕立て伏せの関係

2019年02月09日 yoshihiro

あなたの担当するCVA患者さんのリハビリで、こんなことはありませんか?

 

「歩行時の下肢の振り出しが弱いため、下肢の振り出し練習を行うが、

なかなか歩行の改善につながらない」

 

このような場合、

次のような視点から患者さんを見てみると、ヒントが見つかるかもしれません。

 

歩行時に下肢の振り出しが弱いCVA患者さんはよくみられます。

そして下肢の振り出し練習を行ってもなかなか歩容が変わらないという場合も、

割とよくみかけます。

 

もし、そのCVA患者さんが、出力系の問題を大きく抱えているのであれば、

下肢の振り出し練習を行うことで、歩容の改善が診られる可能性は大いにあるでしょう。

 

しかし実際には、下肢の振り出しの問題が見られるCVA患者さんの問題は、

麻痺側下肢の出力系にのみ問題があることはほとんどありません。

 

つまりなかなかアプローチしても改善がみられない理由は、

問題点に対してアプローチの方向性がいち方向のみとなってしまっているということが原因です。

 

この問題の解決方法は、

アプローチの方向性を多角的に捉えることから始まります。

 

例えば、腕立て伏せを例にとってみます。

 

腕立て伏せがしんどい人に、あなたはどのようなアドバイスをしますか?

 

腕立て伏せは、肘の屈伸という運動の一面があります。

そう考えると、アドバイスのひとつとして、

「肘の屈伸をたくさん練習しましょう」ということも、まんざら間違いではありません。

 

しかし、実際は、

「腕立て伏せの姿勢を、足ではなく膝をついて行ってください」というアドバイスの方が、

楽になる場合は多いでしょう。

 

なぜならしんどい原因は、

肘の屈伸ではなく、姿勢の保持にあることが多いからです。

 

CVA患者さんの歩行についても、

この腕立て伏せのアドバイスと同じようなことがいえます。

 

歩行時に下肢の振り出しが弱い原因を、

麻痺側下肢に見出すのではなく、他の部位に見出す必要があります。

 

また、出力系に問題を見出すのではなく、

入力系や、認知面などにも範囲を広げて原因を探る必要があります。

 

具体的には、体幹の問題であったり、非麻痺側であったりというところでしょうか。

 

 

迷った時こそ、視点を高く持ち、患者さんをもう一度見てください。

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

CCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】関西地域代表

岡澤 頼宏

 

PS:CVAの基盤的な評価介入を知りたい方にはこちらをおススメします。

きっと視点を上げるきっかけとなりますよ。

>>>新人からしっておきたい脳卒中片麻痺に対するアプローチ法