From.CCRA 福留良尚
脳卒中後の多くの方が、病前と違った生活を余儀なくされます。
特に上肢に関しては、活動に参加することも難しく、補助手や見た目のみの改善(過剰な緊張が入らない肢位をとれる上肢)に留まることも少なくありません。
そんな場合にADLにおいて重要なのが、非麻痺側上肢での課題遂行になります。
例えば食事動作、非麻痺手を使っての動作であっても
こういった課題が出てきます。
いや、でも待ってください!
3つ目の利き手でない場合はともかく、上2つは何故でしょう?
何故麻痺していない手を使っても、姿勢の問題や動作能力の問題が出るのでしょうか?
その理由の一つに姿勢制御機構の問題が挙げられます。
姿勢制御機構の問題が残存していると、頸部や腰背部が過剰な固定に使われ、物品を操作する時に対象を「感じる」ことが出来なくなってしまいます。
結果ADLの精度は落ちます。
麻痺の回復が難しい方であっても、姿勢制御機構がある程度安定して機能していれば、自分で出来るADLは確実に増えます。
そのトレーニングをどの段階から始めるのか?
セラピストは、神経科学的な知識や過去の経験と照らし合わせ、回復の可能性を急性期から判断できるリーズニング能力を確実に身に付けておく必要があります。
本日は姿勢制御機構とADLについて考えていきます。
手足の動きを司る神経経路は、運動野からの外側皮質脊髄路が制御しています。(図のB外側運動制御系)
この経路の特徴は錐体で交差して、そのほとんどが対側に下行していくので、例えば被殻出血によってその経路が損傷されれば、反対側の上下肢は動かなくなります。
そして、身体の中枢部(体幹や肩甲帯、股関節周囲筋)の機能を担っているのが、網様体脊髄路系や前皮質脊髄路(図のA内側運動制御系)で、これらの経路は同側にも下行することから、麻痺側であっても神経伝達の回復が望めます。
つまり、左の被殻出血をした場合、麻痺側は右であるが、右の脳は損傷されていないので、同側を下行する内側運動制御系は機能出来る可能性があるということです。
この視点を持って急性期から患者さんに関われるかが、非常に非常に重要です!
何故なら、急性期から患者さんの中では新たな動作パターンの学習が始まっています。
これを回避して、可能な限り楽な動きを獲得していけるかは、最初の関わりに掛かってきます。
CCRAでは、その回復の視点から姿勢制御に焦点を絞って基礎コースを開催しています。
そして、動作の獲得、運動制御へのアプローチへと展開していくのです。
麻痺の回復はもちろん患者が求めるものですが、リーズニングの能力を持ってそれを見極め、適切なアプローチを適切な時期に提供することが出来る、CCRAではそんなセラピストの育成に力を入れています。
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それでは、最後まで読んでいただけて感謝です。
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脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ
認定インストラクター 理学療法士
福留良尚
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