From.CCRA 福留良尚
「骨盤を前傾させれば腹筋が働く」
脳卒中のリハビリでは、骨盤の傾斜に焦点を当て、出来るだけ後傾にならないよう、前傾姿勢になるよう操作することが良しとされている印象を受けます。
筆者もまだ若手の頃は、出来るだけ前傾になるよう誘導していました。
腹筋群の活動が乏しく、座位では骨盤が後傾し、前屈み姿勢を取っている。
重力に抗する活動がほとんど見られない。
良い姿勢になるようハンドリングという名の「強制」を無理矢理行っていました。
結果どうなったでしょう?
良い姿勢になるどころか、緊張を強め、より固定の姿勢になっていました。
今だから分かりますが、あの時自分がしていたのは、無理矢理良い姿勢を取らせようと強制し、患者さんの能力を引き出すわけではなく、セラピストの無理強いをしていただけです。
正直、あの当時の患者さんには申し訳ない気持ちです。
経験年数が少ない、知識や技術も乏しい、でもたまたま担当になった。
自分のこれからの人生を左右するであろう脳卒中後のリハビリテーションが、若手のまだまだ未熟なセラピストであった時、患者さんはどんな感情を抱くでしょうか?
申し訳ない気持ちと、だからこそ今があるという感謝の気持ちと...
両方が入り混じって複雑な状況です。
当時はがむしゃらに学んでいましたが、もっと違う視点、違う学び方を知れれば良かったなと思います。
セラピストが強制しても、それは患者さんにとっては他力本願の状況です。
自分で出来るようになったわけではありません。
患者さんが、自分自身で前傾へのコントロールを身に付けなければなりません。
そのために必要なことは何でしょう?
患者さんにどんな声を掛けてハンドリングをするべきでしょうか?
強制とは、無理矢理その姿勢にさせることです。
しかし誘導は「患者さんが前傾になるのを導く」ことです。
セラピストはその動きを引き出しているだけですので、患者さんが出来る範囲までしか誘導出来ないはずです。
大切なことなのでもう一度。
セラピストは、どうしても「前傾位」をとらせたがります。
前傾姿勢になることを良しとしています。
これは違います。
前傾姿勢になることが目的ではなく、「前傾の動き」があることが重要なんです。
セラピストは、その小さな動きを感じることが大切です。
その動きを感じるためには、自分に力が入っていては感じられません。
操作、強制しようとすると、途端に相手の状況は分からなくなります。
大切なのでこれももう一度。
つまり、評価が出来ていないんです。
患者さんの状態把握が出来ていないのに、ハンドリングが上手くできるはずはありませんよね。
そして...
経験が少ない時は、それに相応する学びから始めなければ、見様見真似、ある意味猿真似になるだけです。
前傾を作るのはなく、前傾の動きを感じ、患者さんの動きを引き出し、伸ばしていく。
講師やインストラクターが凄いのではなく、受講生が出来るようになるカリキュラムが素晴らしいのです。
脳卒中リハでお悩みの方は、是非CCRAで学びを始めてください!
それでは最後まで読んでいただけて感謝です。
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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会
常任理事 九州地区責任者 理学療法士
CCRA認定インストラクター
福留 良尚
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