突然ですが専門書あるあるです
・冒頭の数ページのみ良く読み込んでいる
・買っても中身を見ることなく部屋の隅にどんどん本が積み重なっていく
臨床での疑問や、自分のリハビリの幅を広げるために専門書を手に取った経験は
どなたもお有りかと思います。
ただ、購入した専門書を熟読できているか?と問われると自身のない方は多いでしょう。
専門書はなかなか簡単に買える金額ではありません、高いもので1万円以上となってきます。
折角購入したのに、何故、熟読できないのでしょうか。
それは「臨床に直接応用できる部分が少ない」からです。
これを紐解くことによって、専門書を有効活用する方法がわかります。
また、おすすめの専門書も幾つか紹介しています、是非ご活用ください。
臨床では様々な悩みがあります。
・この症状のとき何の評価をすればいいのだろうか
・亜脱臼の介入をしたいけど、肩関節周囲の解剖に自信がない
・麻痺側の脚を振り出せないときにどんな介入をすればよいか
・脳科学の知識をもっと深めたい
など、悩みがあるときは以下の解決方法があるのですが、
・先輩に聞く
・セミナー、勉強会に参加する
・専門書を読む
それぞれのメリット、デメリットは
・先輩に聞く
メリット:直ぐに聞ける、臨床での悩みを共有してもらいやすい、悩みに応じた回答をもらえる
デメリット:先輩と時間が合わないとできない、正しいかどうか定かではない、一人職場だと難しい
・セミナー、勉強会に参加する
メリット:経験豊富な講師からの指導を受けられる
デメリット:今現在の悩みに即していない場合もある、開催日に公休希望を出す必要がある
・専門書を読む
メリット:いつでも好きな時間で読むことができる、正確でもっとも情報量も多い
デメリット:悩みを解決できる箇所を自分で探さなければけない、それに応じた書籍の選定や購入も必要である
メリット・デメリットを紹介しましたが、
専門書を読む際にはこれらを踏まえて2つのポイントがあります。
・臨床での悩んでいるケースのイメージをする
・初めから全部を読まない
読む際には目的を明確にする必要があります。
亜脱臼の介入をしたいけど、肩関節周囲の解剖に自信がない場合は、解剖書の肩関節付近を見ればよいですし、
脳科学を深めたい場合は、なぜ深めたいと思ったのか、
その動機を掘り下げて、原点にある悩みに対しての部分を読むことをします。
目的を明確にしたあとは、目次を見たり、索引でキーワードから探すことで目的のページにあたりをつけて
読み進めていきます。
本当に良くあることですが、初めから全て読もうと思わないことが重要です。
必要な箇所だけ読む、あくまで参考資料という認識で扱うことで、専門書の有効活用が行えます。
最後に幾つかおすすめの専門書を紹介します。
解剖学全般:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版
イラストも綺麗で骨や筋のイメージも湧きやすい。
解剖学(骨格筋)・触診:骨格筋の形と触察法
実際の解剖写真が多数載っており、触診についても丁寧に紹介されている。
生理学:運動神経生理学講義―細胞レベルからリハビリまで
基礎学問から臨床につなげるヒントを多数得られる。
脳科学:脳と運動 第2版 ―アクションを実行させる脳
運動が発現する際の脳のシステムについて関われている。脳科学系の中でもわかりやすい。
脳画像:コツさえわかればあなたも読める リハに役立つ脳画像
脳画像の読影の仕方を覚えるのに非常にわかりやすい本。
専門書ではないですが、雑誌も非常に有用です。
例えば、感覚障害について知りたい、pusher症候群について、半側空間無視について
など特定の症状・障害について調べたい際は
・PTジャーナル
・作業療法ジャーナル
・Medical Rehabilitation
・BRAIN AND NERVE
などの雑誌で症状や障害に特化した特集号が
組まれていることも多いので、是非調べて見てください。
目的を明確にして読むことで専門書の価値は何倍にも上がります。
読む気力が起きないときは決して無理をして読まないでください。
部屋の片隅で積み重なっていても大丈夫です。
何について書かれた本か、目次だけ最低目を通しておけば、
必要な時に自然と読むことができます。
お読みいただきありがとうございました。
CCRA代表 福田俊樹