脳卒中のリハビリでも、その他の疾患のリハビリでも
歩行について介入する場面は非常に多いです。
今回は初めて歩行分析を行う際のポイントを紹介したいと思います。
動作の中でも歩行は最も研究がなされており、
歩行動作を分割したうえで、その場面ごと
どの様な関節の動きや筋肉の働きが起こっているか解析されています、
歩行を分析する上では、非常に参考になりますが、あくまで一般的なもので、個人差が大きくあります。
例えば足は踵から着く、というのは有名ですが、街中で歩いている人をみると綺麗に踵から着いている人もいれば、
つま先と同時についている人やつま先から着いている人もおり、必ずしも当てはまりません。
正常歩行の取り扱い方として、患者さんの歩行と照らし合わせて比較する材料ではありますが、
介入では比較した際のズレを修正するのではなく
効率の良い運動パターンの一つとして知っておくというくらいが丁度良いのではと思います。
正常歩行と比較して分析するのですが陥りやすいミスとして、目標を見失っている場合があります。
トイレまで歩行自立を目指している患者さんでぶん回し歩行をしていたとします、
ぶん回し歩行は明らかに正常歩行とは逸脱しているので、ぶん回し歩行の原因を分析し介入を行いますが、
実は方向転換時に躓いてしまうことが原因で歩行が自立できていない場合があります。
歩行に介入する際は正常に近づけるのが必ずしも目的ではない事を忘れないようにしましょう。
では自立できてい無い場合、どこが問題なのでしょうか。
そのヒントは介助にあります。
リハビリの際にまだ歩行自立が難しい患者さんと歩行訓練を行うときに、必ず介助をしますよね?
端的にいうと、その介助している部分が自立できない原因となっています。
例えば横に付き添って腕を回す様に患者さんの両肩を持ち介助している場合、
その方が歩行自立するためには肩、
もしくは上半身の不安定性やコントロールの不良さに対して介入が必要となります。
常日頃、介助している際には何を機能の補助をしているのか、
考える癖をつけることをお勧めします。
分析能力の向上にもつながりますし、必要以上の介助を行わないようになるので、
患者さんの活動自立にも繋がっていきます。
介助無く歩行できている方に対しての介入の場合、先ほどの方法は使えません。
その場合は動きのスピードに着目してみましょう。
歩行をわかりやすく大雑把に分けると、右足で支えているフェイズと
左足で支えているフェイズに分かれます。
その方の平均的な歩行スピードに比べてどちらかが極端に早い、遅いフェイズがみられた場合は、
その場面にて何らかの問題があることが伺えます。
慣れてきたら初期接地、荷重応答期など、更にフェイズを細分化し
問題がある場面を描出していきましょう。
今までの流れを行うと、問題がある場面を絞れたのですが、
実際に何が原因になっているかはまだ不明です。
例えば骨盤が外に流れて崩れている現象は、
中臀筋の麻痺のみならず、足部の不安定性や対側体幹部の崩れなど、
様々な原因が考えられます。
つまり視診だけでは不十分です。
触診し、実際に筋活動が得られているのかを判断することで
原因を特定していくことが可能となります。
今回は細かな分析方法というよりも、
歩行分析を行う上での大枠としての考え方・ノウハウを紹介しました。
日々の分析の中で、是非活用してみてください。
お読みいただきありがとうございました。
CCRA代表 福田俊樹