CCRA認定インストラクターの岡澤です。
皆さん、このふたつの姿勢、どちらが良い姿勢だと思いますか?
そりゃこっちに決まってる!というそこのあなたへ質問です。
どうしてそちらが良いと思いましたか?
「だって、まっすぐだから。」
という声が聞こえてきそうです。
「じゃあ、まっすぐって何?」
「どこがまっすぐ?」
「何に対してまっすぐ?」
いじわるをしているわけではありませんよ。
「なんとなくこう思う。」ということを、
理屈で説明するのは、けっこう難しい事なんです。
「1+1はなぜ2になるのか」ということを説明するのが難しい、
ということと似ているのでしょうね。
この「なんとなく」をはっきり説明する為には、
事象の定義づけが必要です。
先日大阪ではベーシック運動学編が開催されました。
テーマは「身体の釣り合い」です。
CVA患者さんが動きにくい理由は、錘体路症状だけではありません。
ほぼすべてのCVA患者さんの姿勢は非対称的なものとなっています。
それだけですでに筋活動に影響を与えています。
ためしに身体をわざといがませて股関節を屈曲させてみてください。
身体をまっすぐにしている時と比べ、足の上げやすさはどうでしょうか?
きっといがませている方が足はあげにくいでしょう。
CVA患者さんの身体の場合、
根本的には姿勢制御システムの破たんがきっかけとなっていますが、
それに加え、錘体路症状や、高次脳機能の問題が複雑に絡んできます。
CVAは神経生理学的な切り口だけでなく、
身体の釣り合いといった、運動学的な視点を持つことで、
複雑に絡み合ったものを解きほどくきっかけが見えてきます。
さて話をふたつの姿勢に戻します。
なぜこちらの姿勢の方が悪いといえるのかは、
こんな線を加えると少し理論的になります。
身体の各部位をわける、
重心線を引いてみる、
という過程を経る事で、各部位の位置関係がわかります。
重心線から離れるということは、
その部位を保持する為にエネルギー(筋活動)を必要とします。
姿勢保持にエネルギーを要するということは、
その後動作(活動)に要するエネルギーを削がれる事になってしまいます。
ただでさえ運動麻痺の問題、協同運動の問題、高次脳機能の問題を抱える
CVA患者さんにとっては、
エネルギーの非効率的な使用は、動作の阻害因子として大きな問題となってしまいます。
中枢系の勉強というと、
輪切りの脳、脊髄のイラストを用いた神経生理学的なものが主流ではありますが、
このような運動学的な視点もCVAを理解する上では重要です。
むしろ脳脊髄輪切りイラストアレルギーの僕にとっては、
運動学的な視点の方が理解しやすかったりします(笑)。
物事の見方はいろいろあります。
自分の苦手な視点でなく、得意な視点で見ると、
全体像をつかみやすいということはよくあることです。
ぜひ多くの視点で物事をみることをおススメします。
なんとなくという感覚も理屈で説明できると、説得力が増します。
逆になんとなくという感覚のままだと、
現象の捉え方がケースバイケースになってしまいます。
定義づけを明確にすることで、色々な状況でもぶれることのない評価が可能となります。
ぜひあなたの臨床でなんとなくという説明になっている事象を定義づけてみて下さい。
きっとその作業はあなたの臨床を深めるきっかけとなりますよ。
お読みいただきありがとうございました。
PS:
CCRAではCVAを3つの視点からみるセミナーをお伝えしています。
神経生理学、運動学、そしてもうひとつが運動連鎖です。
もともと中枢系の研修会が苦手だった僕ですので、
きっと僕のようなアレルギーをお持ちの方でもわかりやすい内容となっています。
大阪では6月に運動連鎖偏を開催します。