立位のリハビリが上手くいかない原因 

2018年04月09日 admin_ccra

From.CCRA 福留良尚

 

 

CVA患者が、急性期から回復期へ移行していくと、活動範囲も変わってきます。

 

急性期のベットや座った状態での生活から、立って移動したり、徐々に活動範囲を広げていかなければなりません。

 

もちろん、麻痺や後遺症の程度によっては、そうすることが叶わない患者もいるでしょう。

 

ですが、車椅子での生活であっても、必ず「立位」はとらなければなりません。

 

 

CVAのリハビリテーションにおいて、立位での安定性を高めることは重要課題の一つです。

 

本日は立位の問題から、急性期、回復期、生活期への転換のための視点を考えていきます。

 

 

 

立位の安定性を阻害する要素

 

 

Brain impactによってダメージを受けた脳は、その機能が損なわれます。

 

いわゆる後遺症です。

 

麻痺、感覚障害、高次脳機能障害といった脳由来の後遺症は、その方の予後を左右する重要な要素です。

 

 

しかし、立位における安定性を阻害する要素は、これだけではありません。

 

 

脳由来の問題は、神経原性要素と言われます。

 

反対に、上下肢の筋肉の構造的な固さ、不使用による筋膜の硬結、関節の可動性といった問題は違います。

 

 

これらは、非神経原性要素といわれます。

 

 

脳のダメージとは関係のない問題です。

 

多くのCVA患者は、この神経原性要素と非神経原性要素、両方の問題を抱えていることがほとんどです。

 

 

非神経原性要素

 

  • 筋肉の短縮・萎縮
  • 筋間の筋膜の硬結
  • 神経自体の滑走性の低下
  • 関節包や靭帯の柔軟性低下 など

 

 

これらの問題が起こる原因は一つです。

 

 

「不使用」

 

 

Brain impactによって身体機能が損なわれ、活動性が低下してしまうことによって起こる問題です。

 

そして、この問題は感覚障害を助長することも分かってきています。

 

 

筋肉は収縮させる機会があることで、ゴルジ腱器官に刺激が入力され、その情報が脳へ到達します。

 

感覚情報の上行経路の問題は、脳由来の神経原性要素ですが、この収縮の回数、つまり活動性は、非神経原性要素の問題となるわけです。

 

 

急性期から回復期までの期間、どれくらい座位や立位(他動でも)をとるでしょうか?

 

患者の感覚障害による恐怖心を、サポートや介助によって軽減し、出来る限り早期の離床を促すことは、私たちセラピストの責務です。

 

 

ケアや介護者では、この恐怖心をコントロールすることはかないません。

 

患者の状況を理解できるのは、脳卒中リハビリを学んだ私達だけなのです。

 

 

今の臨床でどれくらい、急性期から立位歩行のことを考えてリハビリテーションプログラムを考えているでしょうか?

 

不使用が続けば、それだけ非神経原性要素の問題は大きくなります。

 

 

リハビリの機能分化、つまり急性期病院と回復期病院が分かれたことによって、それぞれが好き勝手にプログラムを立てていては、患者の最終目標に到達することは、敵わないかもしれません。

 

その横断的な目を養うことが、私達セラピストには必要です。

 

 

つまり、急性期に勤めているならば、回復期や生活期のリハビリを、訪問やデイケアといった介護保険分野であれば、急性期のリハビリのことを知らなければ、患者に一貫したリハビリを提供出来ないのではないでしょうか?

 

それぞれが自分本位のプログラムを立てていてはいけないのです。

 

包括的に患者を見て、その人に何が必要かを共有できる能力を持ったセラピストの育成が、これからの脳卒中リハビリの課題ではないでしょうか?

 

 

CCRAでは、そんな視点を持ったセラピストの育成に、取り組んでいます。

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それでは、最後まで読んでいただけて感謝です。

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

常任理事 九州地区責任者 理学療法士

CCRA認定インストラクター

福留 良尚

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