EBMから外れたリハビリは本当に駄目なのか?

2017年02月07日 admin_ccra

From.CCRA 福留良尚

 

(CCRA=脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ)

 

 

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CCRA講師の福留良尚です。

 

 

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その中で、NBM(Narrative Based Medicine)についても少し触れました。

 

患者が語る「病気になった理由」、「経緯」、「症状」、「病気についてどのように考えているか」といった物語から、患者が抱える問題を全人的に(身体面だけでなく、精神や心理状態、社会的立場などを含むあらゆる要素から)把握し、治療方法を考える医療のこと。

 

 

それと相対する(、、という言い方は適切ではないかもしれませんが)のが、EBM(Evidence-based Medicine 根拠に基づいた医療)と言われます。

 

特にリハビリの現場で行われる運動療法の多くは、経験的に実施されてきており、客観的なデータがほとんどない=根拠のないものとして今も扱われています。

 

 

 

日本神経理学療法学会の吉尾雅春氏は、このように言われています。

理学療法における臨床場面では主観的側面を極力避け、適切な評価を継続的に行い、理学療法評価を客観的に示していかなければならない。【 参考:理学療法学 第42巻第3号 287~295貢(2015年)】

 

 

「主観的側面を極力避け、、」

 

言葉尻を捕らえてなんですが、私は機械になれと言われているような感覚になります。

 

データとして客観的に残していくことは必要です。

 

その蓄積がこれからの医療の発展のために必要であることは承知しております。

 

しかし、どのような道具(評価スケール・治療手技)を使うにしても、使う人間の熟練度は違うわけです。

 

 

どのような職業においても、修行という期間が存在します。

 

見習いという期間を経て、職業人として一人前に成長していきます。

 

そこには主観的な評価による経験値の蓄積が必ずあるはずです。

 

 

極端な言い方をすれば、「設計図と道具は立派なものがあるから、素人でも家は建てれるよ」と同じではないでしょうか?

 

そういう方法をとっている建設業者さん、いますね。(しかも大手!)

 

 

例えば、木の成長は1本1本違います。

 

熟練した大工さんは、その違いからこの木を家のどこに使えばより強く安定した家になるかを考えて選び、削りだして、建てていくわけです。

 

 

その見極めは、一朝一夕で出来るものではありません。

 

毎日の積み重ね、木に触り、上手くいかない経験を通して精通していくわけです。

 

その工程は現時点ではどんなに素晴らしい機械があっても難しいのではないでしょうか?

 

 

 

リハビリテーションも同じだと思います。

 

患者さんは、同じ病気であれ、そこに至るまでの歴史は一人一人全く違います。

 

「病気になった理由」、「経緯」、「症状(程度)」、「病気についてどのように考えているか」、物語は違うんです。

 

 

その一人一人と向き合い、触れ、試行錯誤を繰り返していくことでセラピストとして一人前になっていくはずです。

 

その経験値は、自分で見て、感じて、触れていくことでしか高められません。

 

 

 

しかも、我々セラピストが相対するのは「ヒト」です。

 

気分があり、感情があり、思想があり、倫理観があり、木とは全然違います。

 

どんなに素晴らしいものを持っていても、相手の意にそぐわない言葉や行為によって簡単に信頼は崩れ、相手にしてもらえなくなるでしょう。

 

 

EBMを提唱される方々も、もちろんそのことは理解されているはずです。

 

ガイドラインや推奨グレードをいくら高いものにしようとも、人として信頼されなければ、その道具すら使わせてもらえません。

 

 

 

「EBMから外れたリハビリをすることは駄目なのか?」

 

私はそうは思いません。

 

もちろんエビデンスは知るべきです。

 

常に情報を集め、取捨選択し、リハビリに活かすべきです。

 

 

しかし、現場で患者さんに「当てはめる」ようなことはするべきではないでしょう。

 

 

吉尾氏はこのように締めくくっています。

 

運動療法の基盤ともなるべき動作分析の普遍的客観的方法の共有は現状では困難であり、今後は理学療法モデルを想定した解剖学や運動学のより深い理解が必要であろう。【 参考:理学療法学 第42巻第3号 287~295貢(2015年)】

 

 

 

この文章から分かるように、人を見る仕事において、「これをすれば大丈夫」なんてものは存在しないということです。

 

吉尾氏の話を直接伺ったこともありますし、一人一人の患者さんを見てきたセラピストなんだろうと感じました。

 

その上で尚、現場では客観的なデータによる根拠のあるリハビリテーションを推奨しているわけです。

(せざるを得ないといった方が良いのか、、)

 

 

 

これ以上は追及しないでおこうと思います。

 

どちらも正しいことだと思います。

 

どちらだけを用いるのではいけませんから。

 

 

それでは最後まで読んでいただけてありがとうございます。

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国際統合リハビリテーション協会【IAIR】

理事 九州支部代表 理学療法士

福留 良尚 (CCRA認定講師)

E-MAIL:yoshihisa.fukudome■iairjapan.jp(←■を@に変換してください)

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