姿勢コントロールの問題をややこしくしているのはセラピスト?

2017年11月20日 admin_ccra

From.CCRA 福留良尚

 

 

脳卒中片麻痺の方の姿勢が安定しない、という悩みはありませんか?

 

  • 体幹を安定させるためにホールドする
  • 姿勢の非対称性をセラピストが徒手的に修正する
  • 安定しないままでも動作練習を繰り返す

 

といった対応になっていないでしょうか?若い頃は私もそうでしたが…。

 

 

では1つ質問です。

 

「上記のような介入で、患者さんの姿勢は安定しましたか?」

 

 

 

姿勢の安定しない方、もしくは非対称性が強くなっている方に対して、強制的に安定させたうえでADLや歩行訓練に持っていくことで、どれだけ患者さんの機能改善に繋がるでしょう?

 

あくまでも姿勢コントロールは「無意識下」で行われるものです。

 

無意識の状態での姿勢、それがその患者さんが現時点で行える姿勢コントールであり、徒手的に修正された姿勢は、あくまでセラピストがコントロールした姿勢です。

 

 

姿勢をコントロールするためには、筋が働かなければなりません。

 

筋は脳からの指令によって駆動されます。

 

その指令が通る経路を、下降性伝導路と呼び、代表的なものに「錐体路(皮質脊髄路)」がありますが、姿勢をコントロールする経路は別に存在しています。

 

 

代表的なものは「網様体脊髄路」「前庭脊髄路」があります。

 

これらの経路は、意識せずとも働くことが出来る経路です。

 

つまり、私たちは「立っていよう」「座っていよう」と意識せずとも、座って本を読んだり、立って台所仕事をしたりすることが出来ます。

 

 

無意識下でコントロールされているとは、こういう状況です。

 

何かをしようと意識した時、その動作や行動を保証するものが姿勢コントロールなのです。

 

 

 

問題をややこしくしているのはセラピスト?

 

 

リハビリを受けている患者さんには、動作や行動を意識してもらわなければいけません。

 

  • 「背筋を伸ばしてください」
  • 「足をしっかり踏ん張りましょう」
  • 「お腹に力を入れましょう」

 

この声掛け、どちらを意識させていますか?



本来無意識で行われるべき部分を常に意識させ、努力させて果たして動作や行動に結びつくでしょうか?

 

 

 

姿勢コントロール改善のポイント

 

先ずは、どの経路が活動していないのか?を探らなければなりません。

 

その上で残存機能を動員し、それに応えられる身体調整を行うことです。

 

 

身体調整に関してはIAIRでお伝えしている徒手的アプローチが有効です。

 

 

そして、神経生理学の部分でのアプローチは、こちらのようにしなければなりません。

 

 

出来ることから神経伝達を効率化していきましょう。

 

私たちも一緒ですよね?

 

いきなりスケートリンクで4回転なんて飛べません。

 

脳卒中片麻痺の患者さんも一緒です。

 

今出来ることを見極め、そこから段階的に学習を繰り返すことで、機能が上がっていくのです。

 

 

それでは最後まで読んでいただけてありがとうございます。

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

常任理事 九州地区責任者 理学療法士

福留 良尚

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