脳卒中に伴う諸症状は、非常に多岐に渡り容易に説明出来ません。
それ故臨床実習では「脳卒中に対する評価は難しい」というイメージが付いています。
一度運動器中心のリハビリに従事すると、脳血管系に移動するのは大変だという話も聞きます。
筆者は新卒で総合病院に入職し、両方の理学療法を実施していました。
確かに、新人の頃は脳卒中のリハビリが難しいという印象でした。
何故か?
患者さんがこちらの意図したように動いてくれないからです。
正常運動に近くなるようサポートしても、筋緊張を高めたり、代償を強めたりして、こちらの思うようには動いてくれません。
そのため、こちらもハンドリングする手に力が入ってしまい、より抵抗感を強くされた経験があります。
どのようにすれば、脳卒中のリハビリをシンプルに行うことが出来るでしょうか?
そのためには、先ず病態に対する解釈をシンプルにする必要があるようです。
脳がダメージを受けることに起こる3つの症状
これをどのように捉えるか考えていきます。
麻痺とは、意図した運動が出来ない状態です。
運動とは、脳内で企画した運動プログラムが、末梢の四肢に伝わる(情報伝達される)ことで起こるものです。
タイトルにあるように、この「情報伝達」がキーワードです。
麻痺とは、意図した情報が届かない状態。
「動かない」「巧緻性が低い」「異常パターン」
これらは全て、四肢抹消に適切な情報が出力されないことで起こっているのです。
この問題は、皮質脊髄路の異常によって起こります。
「片側の感覚がない」「手の位置が分からない」「半身が痛い」
これらは感覚障害と言われる症状です。
多くの脳卒中患者さんに出現する症状ですが、これを「情報伝達」の観点から見ると、どのような状況でしょうか?
感覚を感じることを、知覚といいます。
知覚とは、
感覚器官から入ってきた情報が、脳へ伝達されて意味づけされる。
脳へ情報が入力され、その情報が何であるかを意味付けされる一連の過程に問題があることを感覚障害として捉えることが出来ます。
では、最後に高次脳機能障害はどうでしょうか?
大脳皮質や基底核、小脳といった部分では、入力された感覚情報を
多くの情報のやり取りをそれぞれで行い、最終的に運動野に「このパターンでGO!」という情報を流します。
このやりとりに問題があるのが、高次脳機能障害です。
情報が統合されないことによって、意図していない言葉が出てしまうウェルニッケ失語や、環境やその場の状況に合っていない行動をとってしまう前頭葉症状など、脳内での情報伝達とそれらを統合する能力に異常があることを指します。
例えば、ADLの問題に対して情報処理過程のどこに問題があるか考えてみてください。
歩行の際に麻痺側下肢が引っかかる問題
麻痺側上肢が屈曲パターンに入るのは、入力、統合、出力のどこに問題があるでしょうか?
引っかかる足を持ち上げるように意識すれば、不適切な出力が起こります。
屈曲パターンに入る手がそのまま固定されてしまうと、外界からの感覚情報は入力されなくなります。
間違っても異常なパターンの強化になってはいけません。
CCRAでは、それぞれの情報処理過程に合わせたプログラムの方法をお伝えしています。
初めての方には体験的なセミナーで、CCRAの分かりやすさ、臨床に置ける必要性をお伝えしています。
それでは最後まで読んでいただけて感謝です。
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脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ
認定インストラクター 九州地区 理学療法士
福留良尚
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