「学習と脳」という書籍をご存知でしょうか?
10年以上前に発刊された本で、著者は脳科学で有名な久保田競先生です。
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いきなり余談ですが…
実は私、奥様の久保田カヨ子さんの書籍も愛読しています。
「子育て」をテーマに書かれた数々の本は、脳科学をベースにした子育て法が満載で、私自身子育てをする上でのバイブルになっています。
脳の学習とは、つまり成長です。
カヨ子さんは競先生の分厚い参考書を読みながら、独自の子育て法を確立されたとおっしゃられています。
子育て中の方に是非お勧め!
話を戻しますね(笑)
我々セラピストが学習という言葉を使う時、その多くはCVA患者の運動学習にあたることが多いでしょう。
これがニューロリハビリテーションにおける運動学習であると私は考えています。
その神経回路を形成していくときに必要なことが、学習を司る部分の大脳基底核と小脳です。
もちろん皮質領域も運動学習には欠かせない部分ですが、今回はこの二つの部分の運動学習における役割についてまとめていきます。
大脳基底核は、多様な機能を担うといわれていますが、パーキンソン病やハンチントン病のような基底核変性疾患を例に挙げると分かりやすいです。
いわゆる不随意運動が出現する疾患の症状から、大脳基底核は随意運動におけるこれらの動きを制御していることが分かります。
脳は階層構造であり、身体の精密な動きは、その階層性によってコントロールされています。
つまり、人は「何かをしたい!」という感情が生まれたら、その方法を過去の記憶から辿り、大脳基底核などと連携することによって、精密で正確なやり方へと修正されて、電気信号となって身体へ降りていく。
その連携が出来なくなって、精密で正確なやり方が出来なくなったのが、パーキンソン病などの基底核変性疾患ということです。
大脳基底核における学習を考える上で広く言われているのが、強化学習です。
黒質緻密部のドーパミン細胞は、この試行錯誤から自分に適した方法を習得していく過程で興奮し、ネットワークの強化を行っていることが分かっています。
大脳基底核は、補足運動野との連携が強いとされていて、補足運動野は、運動のプログラミングや両側の協調運動に関わっています。
小脳の主要な機能は、随意運動の協調や姿勢の保持であると言われています。(シンプル生理学 南江堂より)
大脳皮質などの上位運動神経を調節し、骨格筋の活動を協調させ、運動が円滑に行われるようにすることが主な機能です。
小脳における学習を考える上で広く言われているのが、教師あり学習です。
お手本となるものとの誤差を少なくしていくことで、正確な方法を身に付けていくやり方です。
小脳は、運動前野との連携が強いとされ、運動前野は、運動の開始や順序などをプログラミングしています。
お手本との誤差を繰り返し修正しながら、小脳神経回路シナプスに運動記憶が蓄えられます。
これら2つの学習の機構は、実は相反するものではないそうです。
学習課程において、この2つは共同で働きますので、分けて考える必要はありませんが、こと脳卒中においては別です。
基底核の問題が顕著である患者に、強化学習を繰り返しても効果は上がらないかもしれません。
反対に、小脳に問題があれば、教師あり学習の効果は上がらないでしょう。
どのような課題を課すかは患者の後遺症の程度によりますが、達成できるレベルの運動学習にしなければ、効果は上がらないでしょう。
そう言った意味で、脳の機能を把握することは、CVA患者のリハビリテーションに必ず繋がります。
CCRAでは、運動学習の視点もお伝えしています。
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それでは最後まで読んでいただけて感謝です。
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脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ
認定インストラクター 九州地区責任者 理学療法士
福留良尚
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