損傷を受けた脳は本当に回復するのだろうか?

2018年10月06日 admin_ccra

こんにちは。CCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】インストラクターの岡澤です。

 

 

脳卒中のリハビリテーションに携わっているリハビリセラピストであれば、

一度は考えたことがあるでのはないでしょうか?

 

 

「損傷を受けた脳は本当に回復するのだろうか?」

 

 

現場で交わされるであろうこのような疑問は、

実は研究で解明されているものもあります。

 

 

そういった臨床に携わるセラピストに知ってほしい情報を、

今回のコラムでお伝えしたいと思います。

 

 

 

話を損傷された脳の回復に戻します。

 

 

損傷を受けた脳が回復することを「可塑性(かそせい)」といいます。

 

 

※可塑性という言葉の直接的な意味は

「外界の刺激によって機能的・構造的な変化が起こる性質」を指す。

「神経系の可塑性」とは、障害を受けたとき、

神経の機能単位の消失が起きるが、それを補填・回復する場合を指す。

 

 

 

僕が理学療法士になった頃は、

脳は約3か月でプラトーを迎えるということを習ったような気がします。

 

 

しかし現在では、3か月でプラトーという言葉をあまり聞かなくなったように思われます。

 

 

それは研究の結果、脳に「可塑性」があるということがわかってきたためかもしれません。

 

 

研究でわかったこと。

1993年に発表された研究はサルで実験したものでした。

 

 

人間を始め、脳を有する動物に何らかの刺激を入れると、

その刺激に対応した部位の皮質が反応を示します。

 

実験では、皮質を取り除かれたサルを用いました。

 

取り除いた皮質が反応するような刺激を加えて、その反応をみようというものです。

 

本来でしたら反応を示す部分の皮質を取り除いているのですから、

反応するはずはありません。

 

しかし、実験の結果、

本来別の刺激に反応するはずの皮質が、

取り除かれた皮質を補うような反応がみられたそうです。

 

 

この研究を通して、神経系は中枢においても再構築されるという可能性が示されています。

 

 

可塑性の研究はこれにとどまらず、多岐にわたり行われています。

 

 

具体的にリハビリテーションの現場で取り入れるべき内容のものでは、

 

動作練習を主とした介入では、

意味のない単純な動作の繰り返しではなく、

患者さんにとって意味のあるメリハリのついたものであることが、

可塑性を期待するためには必要なことのようです。

 

 

これには、

患者さんの願望と動機が、

神経適応の可能性を広げるものとして考えられているようです。

 

 

冒頭の「脳は回復するのだろうか?」という問いに対し、研究結果はこう答えています。

 

 

「脳は人生を通し、連続的な可塑性を有し、訓練を行えばまた変化を起こす」

 

 

つまり自然回復だけではなく、

患者にとって有益な刺激の入力(リハビリテーション)が必要だ

ということがここから感じることができます。

 

 

個別差が大きく、様々な問題点が混在しているCVA。

その介入の切り口をCCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】はお伝えしています。

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

CCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】

関西地域担当講師

岡澤 頼宏